不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/10/01

    今回の話であれば、
    「過去に機械式駐車場が浸水した」という事実だけで購入をやめる必要はないと思います。

    ただ、私は8階の部屋に被害がなかったことよりも、もう少し別のところを確認します。

    まず、「なぜ機械式駐車場が浸水したのか」です。

    数年前の記録的な大雨で一時的に水が入り、
    その後排水設備などを改善しているのであれば、見方は変わります。

    一方で、周辺道路から水が流れ込みやすい、排水能力が不足している、
    地下部分の構造上どうしても水が集まりやすい、といった原因なら、
    今後も同じことが起きる可能性があります。

    ですから管理会社には、「浸水したことがありますか?」だけでなく、
    「どの場所まで、どの程度浸水したのか」
    「原因は何だったのか」
    「そのとき何を修繕したのか」
    「修繕費はいくらかかり、誰が負担したのか」
    「その後、排水設備などに改善工事をしたのか」
    「現在の長期修繕計画に、駐車場関係の修繕が入っているのか」
    ここまで確認したいです。

    国土交通省も、マンション購入時には現在の建物の状態だけでなく、
    長期修繕計画や過去の修繕履歴を確認することを勧めています。
    機械式駐車場については維持管理に多額の費用がかかることも想定されており、
    修繕計画や資金計画を見ることが重要です。

    そして、今回の相談で私が気になるのは、実は「浸水」だけではありません。

    「今後車を持つ予定」とありますが、そもそもその機械式駐車場に入る車なのか、
    ここは確認していますか?という話です。

    最近の車は、昔に比べて車幅も車高も大きくなっています。

    機械式駐車場には、全長・全幅・全高・重量などの制限がありますから、
    「駐車場に空きがあるか」だけでは意味がありません。

    空きがあっても、希望する車が入らなければ使えません。

    ですから購入前に、現在の駐車場の空き台数だけではなく、駐車可能なサイズを確認して、
    将来購入する可能性のある車が実際に入るのかまで見ておいた方がいいです。

    もし車を持つことがほぼ決まっているのであれば、
    駐車場料金も含めて住宅ローン以外の固定費として家計に入れて考えます。

    「部屋は気に入った、ローンも払える、でも車を買ったら駐車場が使えない」というのは、
    購入してからでは遅いです。

    もう一つ、今回の浸水については、マンションだけを見ない方がいいと思います。

    このマンションの機械式駐車場が浸水するほどの大雨が降ったのであれば、
    「このマンションだけに問題があったのか、それとも周辺一帯でも同じような被害があったのか」
    を調べます。

    近隣のマンションや戸建て、道路、駅周辺などに同じような浸水被害がなかったのか。

    もし周辺一帯で被害が出ていたのであれば、マンション固有の欠陥というより、
    地域全体の水害リスクとして考える必要があります。

    逆に、周辺はほとんど被害がなかったのに、
    このマンションだけ機械式駐車場が浸水していたのであれば、
    マンション側の排水や設備、土地の形状などをもう少し詳しく確認したくなります。

    この違いは結構大きいです。

    そして、
    「今後また浸水したら修繕費や保険料が上がるのでは」という心配だけで判断するより、
    実際に家計へどの程度影響する可能性があるのかを見るべきです。

    例えば、共用部分の浸水被害が発生した場合、修繕費や保険の扱いは、
    被害の内容や管理組合の保険、修繕積立金の状況などによって変わります。

    大事なのは「浸水したことがあるか」だけではなく、
    「そのマンションが今後の修繕に耐えられる財務状態なのか」です。

    修繕積立金はいくら貯まっているのか。

    長期修繕計画に無理はないのか。

    今後、大きな修繕や一時金の予定はないのか。

    機械式駐車場の修繕費を駐車場使用料でどの程度賄っているのか。

    国土交通省のガイドラインでも、
    長期修繕計画は工事費や物価などの変動を踏まえて定期的に見直すものとされています。

    ここを見れば、
    「過去に一度浸水した」という一つの情報だけで必要以上に怖がる必要はありません。

    逆に、浸水履歴があるのに修繕積立金が少ない、長期修繕計画が古い、
    機械式駐車場の修繕計画が曖昧、といった状況なら、私は気にします。

    奥様と意見が分かれているのであれば、「浸水を気にするか、気にしないか」で議論するより、
    事実を一つずつ確認した方がいいと思います。

    私なら購入前に、

    過去の浸水範囲と原因
    その後の修繕内容と費用
    現在の長期修繕計画と修繕積立金
    機械式駐車場の空き状況と車両サイズ制限
    周辺地域の過去の浸水状況
    ハザードマップ上のリスク

    ここまで確認します。

    その結果、「大雨による一時的な被害で、対策もされていて、管理状態にも問題がない」のなら、
    過去の浸水履歴だけを理由に購入を否定する話ではないと思います。

    一方で、
    「この地域ではたびたび浸水し、マンション固有の排水にも問題があり、
    今後の修繕資金にも余裕がない」ということなら、話は変わります。

    また、8階だから安心という考え方も少し違います。

    専有部分が8階にあることで住戸への直接的な浸水リスクは低くても、
    マンション全体の設備や駐車場が被害を受ければ、
    管理組合を通じて自分も費用を負担する可能性があります。

    マンションは「自分の部屋だけを買う」のではなく、
    建物と共用部分を他の所有者と一緒に維持していく住まいだからです。

    今回なら、浸水履歴を「怖いからやめる」「修理済みだから問題ない」の二択にしないことです。

    車を持つ予定まで含めて、駐車場が本当に使えるのか、
    マンション全体の修繕資金は大丈夫なのか、
    そしてその浸水がマンション固有の問題なのか地域全体の問題なのか。

    ここまで確認したうえで、
    住宅ローンや管理費・修繕積立金、駐車場代などを含めた毎月の家計に無理がないなら、
    私は「過去に一度浸水した」というだけで過度に心配する必要はないと思います。

    むしろ購入前にそこまで確認できることは、
    このマンションを買うかどうかを判断するための良い材料だと思います。

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