不動産のお悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    投稿日
    2024/06/05

    品木彰

    不動産専門家

    • 30代
    • 大阪府
    • 男性
    • 専門家

    〇賃貸事業を続けることのメリットとデメリット
    賃貸事業を引き継ぐと、賃料収入を得られるようになり、生活費や住宅ローンの返済、教育費などの支出が賄いやすくなります。安定した賃貸需要がある場所にマンションが建てられていれば、継続的な賃料収入が得られて、生活が楽になる可能性があります。

    賃料収入などから必要経費を差し引いた部分は不動産所得となり所得税がかかりますが「減価償却費」の計上により、税負担を軽減できることがあります。減価償却費は、年数の経過とともに減少する建物の価値分を、経費に計上する際に使用する勘定科目です。

    減価償却費は、実際の支出をともなわない経費です。そのため、減価償却費を経費に計上することで、実際は黒字であるにもかかわらず帳簿上は赤字となることがあります。

    帳簿上が赤字である場合、確定申告をして給与など他の所得と相殺をすると、税負担を軽減することが可能です。

    一方、賃貸事業を継続する場合、確定申告が毎年必要となります。賃貸収入や経費などをもとに所得税額を適切に計算して申告をし、必要に応じて納税もしなければなりません。そのため、帳簿づけや領収書の保管などを適切に行う必要があります。

    また、物件の管理や入居者の募集、トラブル対応などをする必要もあります。管理会社に任せて負担を軽減することもできますが、管理費用がかかります。

    〇相続税の計算における賃貸収入の影響
    相続が発生した後の家賃収入は相続財産にはなりません。ただし、個人の収入として扱われるため、確定申告の対象となります。

    ただし、未収家賃は相続財産となるため、相続税の課税対象です。未収家賃の累計金額が多いと、相続財産が増えて相続税の負担が重くなる可能性があります。

    一方、前月に当月分の家賃を振り込む前受家賃や支払日に到達していない家賃の未収分は相続財産に含まれません。

    〇賃貸事業を継続する上での税務上の注意点
    前述の通り、賃貸事業を続けるのであれば、確定申告をしなければなりません。税額の計算を誤り本来よりも少なく納税した場合や、申告期限(通常は翌年の3月15日)を過ぎてしまった場合は、加算税や延滞税といったペナルティが課せられる恐れがあります。

    また、年初から相続開始日までの家賃収入がある場合、相続した人は「準確定申告」をして不動産所得を申告し、必要に応じて所得税を納税しなければなりません。

    未収分の家賃は、相続財産には含まれませんが、準確定申告の対象にはなります。もし、入居者に催促をしても一向に家賃を支払わないようであれば、内容証明による督促状の送付や簡易裁判所の少額訴訟などでの対応が必要になることもあります。その場合は、弁護士などの専門家に相談をすると良いでしょう。

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