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REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    投稿日
    2024/06/21

    奥林洋樹

    H.L.C不動産コンサルティング

    • 50代
    • 北海道
    • 男性
    • 専門家

    借地借家法第32条で賃料の増減請求権が定められていますが、そこには増減できるケースとして

    1.租税その他の負担増減が発生した場合
    2.建物価格の上昇もしくは低下、その他の経済事情により近傍同種の建物賃料に比較して不相当である場合

    とされています。


    質問を見た限りでは、そのような具体的な理由が提示されずいきなり値上げが通告されたような印象を受けます。

    もっとも賃料増減請求権は、賃貸借契約書に特段の定めがない限り賃貸借契約当事者の一方的な意思表示により法的効果が発生すると解されています。その場合、意思表示のみで「形成権」が成立しますので協議の余地はありません。

    賃貸借契約書に「当事者協議のうえ賃料を改定できる」などの条項が記載がされているでしょうか?

    条項が記載されている場合、下級裁判所の判断は、「協議を経ることなく増減請求した場合はそれをみとめない」としているケースが多いようです。

    まずは賃貸借契約書条項の確認をお勧めいたします。


    賃料増額が不服の場合、適正と考える賃料を供託する方法はあります。しかし、これは裁判を前提とした手法ですので、供託後は裁判で争うことになります。この手法では手間と費用が、賃料増減額以上に必要となる可能性が高く、お勧めできるものではありません。

    現実的な対応としては、賃貸人に窮状を説明して現行家賃を維持してもらえるよう交渉することです。

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