不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/04/23

    ご相談の状況、気持ち的にも現実的にもかなり負担が大きいと思います。
    まず結論からお伝えすると、お兄様に「契約内容を理解して判断できる能力があるかどうか」がすべての分かれ目です。

    もしお兄様が、
    ・契約の内容を理解できる
    ・自分の意思で判断できる
    この状態であれば、成年後見をつけずに遺産分割協議は可能です。
    この判断は最終的に司法書士や仲介業者、場合によっては銀行側が「問題ない」と判断できるかどうかになります。

    なので実務的には、「少し不安がある」くらいであれば、一度きちんと面談をしてもらい、「この内容なら進められるのか」を見てもらう価値はあります。

    一方で、
    ・内容の理解が難しい
    ・意思確認があいまい
    と判断されると、司法書士の方がおっしゃる通り、成年後見(または保佐・補助)の手続きが必要になる可能性が高いです。

    これは法律上、避けて通れない部分です。
    遺産分割協議は「全員が有効に意思表示できること」が前提なので、そこが曖昧なまま進めると、後から無効になるリスクがあるからです。

    「後見人をつけたくない」というお気持ちもすごく分かります。
    実際、
    ・手続きに時間がかかる
    ・売却にも家庭裁判所の許可が必要
    ・売却代金の使い道も制限される
    と、自由度はかなり下がります。

    ただ、これは逆に言うと、ご本人(お兄様)の財産を守るための仕組みでもあります。

    では他に方法があるかという点ですが、正直に言うと、判断能力が不十分と見られる場合は、後見制度以外で安全に進める方法はほぼありません。

    よくある誤解として、
    ・家族間で合意しているから大丈夫
    ・実質的に問題ないから進められる
    と思われがちですが、これは後からトラブルになる典型的なパターンです。

    ただし、現実的な進め方としては少し工夫の余地があります。
    例えば、
    ・まずはお兄様の判断能力を専門家にしっかり見てもらう
    ・いきなり売却ではなく、遺産分割の方向性を固める
    ・売却前提で不動産会社に事前相談して段取りを組む
    このあたりを並行して進めると、後見が必要になった場合でも無駄が少なくなります。

    個人的には、この手の話で一番もったいないのは、「急いでいるのに、順番を間違えて余計に時間がかかること」だと思っています。

    今の状況だと、
    ・空き家でコストがかかっている
    ・早く売りたい
    という現実があるので、なおさらです。

    なので、「後見を避ける方法を探す」よりも、「どのルートが一番スムーズに売却までいけるか」この視点で一度整理した方が、結果的には早く進むことが多いです。

    気持ち的には割り切れない部分もあると思いますが、これはご相談者様が悪いわけでも、判断を間違えているわけでもありません。

    むしろ、こういう状況でしっかり止まって確認していること自体がすごく大事です。
    必要であれば、売却の段取りや、後見が絡むケースの進め方も含めて、現実ベースで整理することはできます。

  • 私が回答します

    小川佳宏

    小川FP・行政書士事務所

    • 60代
    • 愛知県
    • 男性
    • 専門家
    投稿日
    2026/04/30

    相談内容を拝見しました、お父さまの相続で認知の能力が微妙なお兄様との遺産分割協議ができるかご心配なのですね。

    まず、お父さまが遺言、任意後見契約、家族信託など生前に何も対策をしていなかったことを前提としますと、方法は大きく2つかと思います。
    方法1:もし後見、保佐、補助の「補助」となれば、補助制度の活用(後見より費用や期間で軽い制度)
    方法2;「後見」となっても一旦、相談者が全部相続して、売却して法定相続分(以上)をお兄様に相続させることの遺産分割協議を法定後見人と行う(換価分割)(費用、期間で負担が大きい)

    その前提には、まず医師の診断書(判断能力に関する診断)を取得し、後見、保佐、補助のどの段階にあるかを客観的に把握することが出発点です。家庭裁判所に申請します。

    補助となれば、方法1で遺産分割協議について「同意権」を付与する形で補助人を選任してもらい分割協議をします。 成年後見のように包括的な代理権を与える必要がないので負担は減ります。一旦、不動産は相談者が相続し売却後、1/2以上の現金をお兄さまに渡す方法です。(換価分割)

    後見であれば、方法2の中で同様に換価分割を後見人と協議します。後見人は法定相続分を主張しますので、共有にする意味がないので、合理的な方法として十分、合意してもらえる可能性があります。費用面等、負担が多くなりますのでできれば避けることがよいでしょう。行政書士、FP、司法書士などに相談されるとよいでしょう。

    売却の場合は、空き家特例など、譲渡所得税の3000万円控除の要件を満たせば、相談者様には譲渡所得税はかからないと思われます。いくつか条件がありますのでFPや税理士に確認されるとよいでしょう。

    尚、現在、2~3年以内に後見制度の抜本的改正の方向であり、後見、保佐、補助の3分類は廃止され、「補助」に統一されていく方向です。相続不動産の3年以内登記義務との兼ね合いになりますが、遺産分割協議のみピンポイントで後見制度を利用が可能になり、親族後見人が選ばれやすくなるようです。10か月以内の相続税の心配がなければこの改正を待ってから遺産分割協議をすることと、同時に、遺産分割協議が完了する前に暫定的に「相続人申告登記」を検討し、3年以内の相続登記義務を満たすことも可能です。

    以上、ご参考まで。

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